私の釣行はここ数年クロダイにハマっている関係で、内房と南房に集中していますが、今回は、外房の一級地磯をご紹介したいと思います。
外房の一級地磯というと、皆さんはどこを思い浮かべますか。外房に通っている方にはとても簡単かもしれませんね。
私がご紹介する釣り場は、黒鼻の磯と呼ばれる地磯です。
ここは、切り立った山の端にある磯場ですが、房総半島では珍しく、足下から10m以上水深があり、大型の回遊魚も回ってくる、良い意味で千葉らしくない釣り場です。
私は、釣りを始めてから20年弱のこれまでに、数多くの房総の地磯を訪れましたが、釣果とは別に、ある意味忘れられない魅力的な地磯です。
どういう意味で魅力的なのか。
それは、たどり着くまでの道の険しさと、それを乗り越えるときに切り立つ小高い山の尾根から眺める絶景と出会えるから、そして海を見ただけで感じるポテンシャルの奥深さです。
太平洋に面した外房らしく勇壮な景色をまた是非、観に行きたいと時々思うのですが、心のどこかで、もう二度とあんなツラい山越えの思いはしたくないと拒否反応してまうという、不思議な磯場です。
黒鼻の磯には、勝浦方面から車で少し南下すると国道沿いから見えてくる松部港というアジ釣りで有名な港への入口に左折して、そのまま松部港を通りすぎトンネルを抜けて先の方に行くとトンネルを抜けた先の角にある地元の方がやっている原っぱみたいな駐車場に車を停めます。(かなり前なので、今でもこの駐車場あるかは未確認です)
荷物を担いだら、そこから小さな船揚場の方向に行きます。するとすぐに舗装された道沿いの右側にコンクリートの階段が見えてくるので、そこを上がります。上がるとすぐに林の中の未舗装の地肌むき出しの狭い道が出てきますが、そこがまあ、地獄(大袈裟)の入口です。
山越えだけあって、林の中のその小路は、かなり急な坂が、くねくねとどこまでも続きます。
林の中は陽が射し込まないせいか、一部、ぬかるんだところがあります。手には重い釣具やエサを抱え急な坂を必死に登っていると汗だくになります。(この磯の常連の方は、背負子があると便利とよく言われます。)夏はあっという間に服もびしょびしょ。とにかく先だけを見つめてくじけそうなギリギリの気持ちで登っていると、突然そのぬかるみに足下をすくわれ、滑って転び、着ている衣服も泥で汚れてしまい、もう何をしに来たのか、何のために登っているのかを忘れそうになります。
もう、なにも考えてはいけません。ただ、ひたすら無心で登っていると、しばらくすると坂が緩やかになってきますが、それが登りがもうすぐ終わることを示すサインとなります。
ここの磯場は大きくふたつのルートがあります。ひとつめは、比較的近いちょっと危険なルート、ふたつめは、かなり危険で単独の釣行はオススメできないルート。
私は、基本的に単独の釣行なので、今回はひとつめのルートをご紹介しますが、そこまでの道のりは、頑張って20分くらい。
そして、登り坂が緩やかになるその地点は、まだルートの半分ほどに過ぎないのです。身も心もかなりダメージを受けているというのに。
ここまで読んでくださったこの磯を見たことがない皆さん、是非画像検索で、どんなところか見てみていただくと、イメージが沸くと思います。
そして、このあと待っている感動と恐怖とは。
- つづく -