その先に何も見えないのがもったいない、と書きましたが、それはどういうことでしょう。
結局、この日は彼はフグには会えてもクロダイには会えませんでした。
このブログを始めてすぐに書いた通り、釣りの楽しみ方は人それぞれであってよいと思っています。ただ、私の個人的な考えですが、例えばクロダイが釣れても、それは結果として付いてくるものであって、本当の釣りの楽しさは過程にあると思います。
地磯でお会いしたこの方が、家で待つ家族のためにどうしても大きな魚を持って帰らなければならないのなら、それはそれでアリですが、それは狩りであって、趣味ではない。そうではなく、きっと楽しもうとして来られているのだと思うので、大きな魚を自力で釣れるようになるまでの過程をもっと楽しんでもらいたいなあと、思うわけです。
彼はクロダイには会えませんでしたが、その理由は、恐らくポイント設定とコマセのコントロールでした。仕掛けやタナは私からある程度お知らせしたので。
潮は動くものですが、地形等によって、あるところで止まったり、そこから潜ったりします。
どういう釣り方をするのか決めずに、やみくもに仕掛けを投入して、ウキのある位置にコマセを打ってもすぐにウキは離れていきます。まして、同じポイント周辺にコマセを打てず、結果としてあちこちにばらまいたりしてしまうと魚は散ってしまい、ポイントに狙う魚を寄せて釣るエサ釣りの要件を満たしていないことになり、まぐれでもなければなかなかクロダイをつり上げるのは厳しいかなと思います。
海の磯釣りの面白さは、ゲーム性にあると思います。釣りの状況を左右する要素としては、海底の地形、水深、回りの岩場や根(海底の岩の起伏)、気温、水温、潮の流れ、潮の干満、天気、風向き、風の強さ、ハリスの長さや太さ、ハリ、コマセ配合の内容、つけエサ、等々あり、更に時間の変化によりこれらの要件も刻々と変化するので、変化に合わせて仕掛けや仕掛けの操作の仕方を変えてゆき、なんとかクロダイに口を使わせようと、釣りの間中アンテナを立てて考えながら、こうだからこうする、といったように自分なりに作戦を立て実践します。
この作戦が当たって良型のクロダイに巡り会えた時の嬉しさは格別です。そう、自分で考えながら、作戦通りにコマセを打ち、ラインを操作できるように普段から練習したりしながら、たどり着くことにこそ、釣りの楽しさがあるのだと思っています。
これは、他の海釣りや川の釣り、ヘラブナ釣りなども含めたすべての釣りにも言えるのではないでしょうか。
過程を楽しむ。
私も腕はまだまだですが、いろいろと試行錯誤していると、海や魚、そして釣り自体の奥深さを感じます。これがまた面白いんですよね。
だから釣りは止められません。(笑)